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活字の海に身を委ねる悦びに入り浸れる読書大好きhearTofuです。
本記事ではアマゾンの電子書籍サブスクサービス「Amazon Kindle Unlimited」で実際に読んだ、『レプリカだって、恋をする。 第1巻』について、あらすじ・感想・おすすめポイントをまとめました。
これから読もうか迷っている方や、新しい本との出会いをお探しの方のは、ぜひ参考にしてみてください。
本のあらすじ
「私」は、愛川素直という少女のレプリカ。 7歳の頃、友達との喧嘩をきっかけに、素直の「代わり」として生み出された存在です。学校へ行くのが億劫な日や、体調が優れない日、素直に呼び出された私は彼女の身代わりとして登校し、彼女の日常を「記録」としてなぞる。それが私の使命でした。
そんなある日、私は文芸部で真田秋也のレプリカである「アキくん」と出会います。自分と同じ、誰かのスペアとして生きる彼。私たちは密かに、二人きりの「遠足」として日本平動物園へ出かけ、特別な時間を共有します。しかし、その幸福な時間は長くは続きませんでした。オリジナルの素直が抱く「自分の人生を奪われる」という恐怖と、レプリカである私への激しい拒絶。そして、私たちの存在を揺るがす過酷な事件が幕を開けます。
これは、名前も体も「借り物」でしかない少女が、自分だけの居場所と恋を見つけるまでの、切なくも美しい青春物語です。
書評・感想レビュー
榛名丼(はるなどん)先生のデビュー作であり、第29回電撃小説大賞の《大賞》に輝いた本作を読み終えた今、私の胸には静かな、しかし確かな熱が灯っています。
「レプリカ」という残酷で詩的な設定
まず、本作を語る上で欠かせないのが、この「レプリカ」という設定の妙です。SF的なアンドロイドではなく、子供の純粋な「逃げたい」という願いから、ある日突然生み出された自分そっくりの存在。オリジナルが望めば現れ、不要になれば消える。彼らが持つ記憶は、自らの体験ではなく「川の向こうの景色を眺めるような」希薄な記録でしかありません。
主人公の「セカンド」という名前が象徴するように、彼女は常に二番手であり、自分自身の名前すら持っていません。この「何者でもない」という欠落感が、物語全体に透明な悲哀を漂わせています。しかし、その空っぽの器(うつわ)の中に、読書という行為を通じて少しずつ「自分だけの感情」が溜まっていく過程が、実に見事に描かれています。
文学という名の「鏡」
物語の舞台となる「文芸部」は、彼女たちにとっての聖域です。ここで彼女は夏目漱石の『こゝろ』や宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読み耽ります。これらの古典が、単なる小道具ではなく、レプリカである彼女自身のアイデンティティや運命を鏡のように映し出す装置として機能しています。
特に『こゝろ』の「向上心のないものは、ばかだ」という一節や、『銀河鉄道の夜』のジョバンニとカムパネルラの別れが、アキくんとの関係性と重なり合う場面は圧巻です。文学を通じて自分の現在地を確認し、言葉にならない痛みを咀嚼する。その知的な情緒は、ライトノベルの枠を超えた深みを感じさせます。
「ハーフアップ」に込められた小さな抵抗
本作において最も印象的な象徴の一つが、主人公が自分の意志で結う「ハーフアップ」の髪型です。 オリジナルである素直はポニーテールにはしても、ハーフアップにはしない。ならば、ハーフアップにしている間だけは、私は「誰かの身代わり」ではなく「私自身」でいられる。この、他人から見れば些細な変化が、彼女にとっては命がけの、そして最大限の自己主張なのです。
アキくんがその微かな変化に気づき、「今日はハーフアップだな」と声をかけるシーン。そして、彼と話したい日には決まってその髪型にする彼女の姿に、恋の始まりの甘酸っぱさと、存在を認められた者の震えるような喜びが同居しています。
オリジナルとレプリカの「鏡合わせの孤独」
特筆すべきは、オリジナルである愛川素直を単なる悪役に仕立てていない点です。 素直もまた、完璧で優しい女の子であれという周囲の期待に押し潰されそうになり、自分より「完璧に自分を演じられる」レプリカに居場所を奪われる恐怖に怯えています。
「たかがレプリカのくせに」という冷酷な言葉の裏側にある、彼女の悲鳴。 私たちは「偽物」の悲哀に同情しがちですが、作者は「本物」が抱える不自由さや孤独もまた、同じ重さで描いています。ラスト、素直が私の頭を撫で、「ずっとがんばってくれてありがとう」と告げる場面では、二人がようやく「姉妹」のような、個別の人間として向き合えた救いを感じ、涙を禁じ得ませんでした。
静岡の空気感を纏った筆致
物語の舞台、静岡市、とりわけ用宗(もちむね)周辺の情景描写が素晴らしい。 海辺の町の潮の香り、錆びついた階段、日本平動物園のレッサーパンダ。これらの具体的な地名と鮮やかな風景が、非現実的な「レプリカ」という存在に、確かなリアリティの重みを与えています。作者の榛名丼先生自身が静岡出身ということもあり、風景の一つ一つに愛着が感じられ、まるで自分もその風を浴びているかのような没入感があります。
これは、すべての「自分を偽物だと思う人」への福音
私たちはレプリカではありません。しかし、社会の中で何かの役割を演じたり、「本当の自分」を隠して誰かの期待に応えようとしたりする時、どこかで自分が「偽物」であるような感覚に陥ることがあります。
本作は、そんな現代的な孤独に寄り添い、「例え借り物の名前であっても、そこで感じた痛みや、誰かを想う気持ちは本物なのだ」と肯定してくれます。 結末で彼女が見る「初めての夢」は、単なるハッピーエンド以上の、一人の人間が誕生した瞬間のような神々しさに満ちていました。
透明感あふれるraemz先生のイラストも含め、一冊の芸術品のような読後感。 青い夏の残り香を感じるこの季節に、ぜひ手にとってほしい一冊です。
こんな方におすすめ
- 切ない青春物語が好きな方
偽物と本物の間で揺れ動く、繊細な感情描写に胸を打たれます - 文学的な雰囲気を楽しみたい方
漱石や宮沢賢治などの古典の引用が効果的に使われており、知的な読書体験ができます - 「自分は何者か」と悩むすべての方
自己肯定とアイデンティティの確立という普遍的なテーマが扱われています - 静岡県にゆかりのある方
用宗、静岡駅、日本平など、細かな地元描写に親近感が湧くはずです
まとめ
『レプリカだって、恋をする。』は、単なるファンタジーや恋愛小説の枠に留まらない、魂の在り方を問う物語でした。
主人公の「セカンド」が、アキくんとの出会いを通じて「記録」を「思い出」に変え、絶望の淵から「生きたい」と叫ぶまでの旅路は、読む者の心を強く揺さぶります。
偽物が本物を超えるのではなく、偽物が「私」という唯一無二の存在を見つける。その美しさに、ぜひ酔いしれてください。
音声ポッドキャスト
書籍概要
| タイトル | レプリカだって、恋をする。 第1巻 |
| 著者名 | 榛名丼 (著), raemz (イラスト) |
| 出版社 | KADOKAWA(電撃文庫) |
| 言語 | 日本語 |
| 本の長さ(ページ数) | 約296ページ(文庫本) |
| 発売日 | 2023年2月10日 |
| 紙媒体価格 | 792円(税込) |
| 書籍購入先 | アマゾンキンドルで読む |
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